コワーキングスペース「ワークラボ八ヶ岳」では、企業・市民・別荘利用者・中高大生などのさまざまな関係づくりにつながるイベントを実施しています。そのひとつとして「農業とIT」をテーマにワークショップを行いました。ロボット技術やICTを活用したスマート農業にくわしい大学教授、ITエンジニア、地元で農業を営む方々からお話をうかがい、さらに話してみたいことをグループごとに語り合い、みんなで共有しました。山麓の豊かな水と大地で営まれる茅野の農業。「地域の自然の力」「茅野の未来」への思いを確認し、「否定/肯定」だけではないコミュニケーションを経験する機会となりました。
ゲストトークでは、大学教授の渡邊さんが農業とエレクトロニクスの実践例を。システムエンジニアの石井さんは農業の業務プロセスの効率化に貢献できないか、という模索について。米農家の小松さん、移住して菊農家となった鈴木さんは栽培管理や販路拡大といった課題についてお話しくださいました。
後半はワークショップ。「農業で電気があったらできること」「農業でやりたいこと」「良い花を知ってもらうには?」「水の管理にITを生かすには?」の4つをテーマに、参加者と話し手がグループごとに語り合いました。
着地点を出さすのでなく「こんな話がでました」ということをグループごと発表。「さまざまな考えを持った方と意見交換をすることができた」「色々な分野の人と面白いアイディアがたくさん生まれた」「色々な人が出会う場をつくることは、新しいものを生み出すのに必要」といった感想が寄せられました。
大学では農作物栽培に必要な光を通す「農業用の太陽電池」の研究をしており、サロンではふだん大学と接点のない一般の方と交流させてもらいました。否定的な意見をもっておられた方もいましたが、それぞれの立場でアプローチの仕方が違うだけで、技術と自然とを調和させて環境を守り作物を育てるという人間の豊かな暮らしを目指す部分は一緒ですね…という話になりました。縄文のころから茅野の景観はそんなに変わっていないと思いますので、そういう環境を大切に守りながら自然の豊かさを次世代に残していかなきゃ…という共通認識を地域の皆様とさらに共有できたら素晴らしいと思います。
サロンでいろいろな方とお話しでき、諏訪東京理科大で研究しているという学生さんたちと意見交換したことがきっかけで、今はプログラミングでハウスの温度管理システムをつくっています。他にも出会った人とのアイデアが形になって菊の展示会も。そこからさらに新たな出会いが生まれ、サロンがきっかけになってつながっています。
茅野市のコワーキングスペース「ワークラボ八ヶ岳」では、定期的に、ワークラボ在籍の企業や理科大生、茅野市民がアイデアを出し合うワークショップを開催しています。社会課題や商品開発など様々なテーマで話し合い、新しいアイデアを創り出す場となっています。このサロンでは「農業とIT」というテーマで、茅野市の農業の可能性を見出すことを目的に開催しました。菊農家・米農家・IT技術者など、テーマに真剣に取り組む姿は、茅野市の農業に明るい未来を感じられるワークショップとなりました。