八ヶ岳山麓の豊かな縄文文化は茅野の大切な宝もの。市内には230を超える縄文遺跡があり、その発掘調査には地元の皆さんが関わっています。そこで、市民の作業員・補助員の皆さんから体験談をうかがいました。まずは、どのように調査を行っているか実際の用具を使った寸劇からスタート。土器修復の実演など、ふだんの様子が垣間見られる楽しいひと幕もありました。発掘では、実際にこの地で営まれていた暮らしに直に触れるような感覚があるといい、自然条件に左右される厳しい作業でも夢中になってしまう……といったエピソードなど、さまざまな思いにふれることができました。
案内役は市民の作業員・補助員の皆さん。発掘調査の実演ではどのように発掘が進められるのか、どのような道具を使うのかを寸劇で紹介。室内にいながら「現場にいるみたい」と参加者の皆さんにも大好評でした。
事例紹介では発掘調査にたずさわるようになったきっかけや、印象に残る発掘のエピソードなどを一人ひとり発表。「縄文のビーナス」のような国宝となる土偶の発掘現場に立ち会った印象的なお話や、出土品が見つからない遺跡にも発掘の意義があることなど、さまざまなお話をうかがいました。
本物の土器の破片をその場で土器の形に組み立てていく土器修復の実演も。縄文の時をとどめる土に直に触れることで、太古の営みを感じられる……といった話もあり、現場の体験に「臨場感のある話が印象深かった」といった声もありました。
定年から人手が足りないと誘われて作業員になり20年ほど。もともと興味があったわけではないけれど面白くなってのめりこみました。80歳を超えても湧き上がってくる気持ちがあって甲斐があります。発掘について周りに話をすることもあるけれど皆さんあまり知らなくて、縄文といっても一般の方には浸透していないと感じることはあります。サロンで皆さんにお話して「へえー」なんて反応してくれてうれしいです。
考古館の土器教室に参加し、そこから紹介してもらって作業員に。30年くらい前です。体調に自信がなかったので最初は土器を洗ったりする中の仕事をしましたが、そのうち外で発掘しはじめたら性に合っていたのか楽しくなって、やっていくうちに丈夫になりました。人前で話をするのは苦手でサロンではどきどきしましたが、振り返ることにもなって、そういう場を与えてもらえてよかったです。
発掘調査では、稀に「お宝」が見つかります。その発掘の様子は、竹べらや刷毛を使った作業風景と共に大きく報じられます。一方、発掘調査に必須の、ジョレンやスコップで不要な土を取り除き、それを一輪車で運び出す作業は、ほとんど注目されることはありません。実は、そうした作業が発掘調査の大半を占めており、その担い手が調査補助員と発掘作業員の皆さんです。サロンでは、発掘調査における縁の下の力持ち的な存在の皆さんに光を当てるべく、発掘作業の寸劇にご出演いただいたほか、思い出に残る発掘シーンや縄文遺跡への思いなどを、ユーモアを交え存分に語っていただきました。調査担当者と異なる視点から、縄文遺跡の発掘調査を知っていただくよい機会となりました。