茅野市役所→❶茅野市八ヶ岳総合博物館→❷諏訪大社上社前宮→❸茅野市神長官守矢史料館→❹高過庵・低過庵・空飛ぶ泥舟(藤森照信氏設計の茶室)→❺茅野市美術館
茅野市に住む人で、「諏訪大社」の名前を知らない人はいないでしょう。七年一度の勇壮な御柱祭をはじめ、普段の暮らしにも深く根づいている諏訪信仰は、古代から続く自然を敬う精神が特徴。長い年月の中で育まれた諏訪地域の人々の「自然を大切にし感謝しながら、自然とともに生きる姿勢」を学び、その姿勢でつくられた具体的な文化財や芸術作品を通して、茅野のDNAを感じる旅。
まず、諏訪盆地の立体模型を見学。茅野市を含む諏訪盆地が火山の噴火によってできたことを知りました。
諏訪信仰は諏訪盆地全体に広がっており、諏訪大社は諏訪湖の上流と下流とで大きく上社と下社にわかれ、それぞれが2つの宮をもっていること、茅野市にある「上社前宮」は中でも最も古い、諏訪信仰の発祥の地であることなどを聞きました。
さらに時代が下り、江戸時代には坂本養川という人物の緻密な計画と努力によって、「せぎ」とよばれる用水路が茅野市中にはりめぐらされ、お米をはじめとする農業生産の向上に大いに役立ちました。茅野の人々はただ自然の恵みを享受するばかりではなく、工夫と発明で自然を利用しながら生き抜いてきたのです。
いよいよ諏訪大社上社前宮の境内にご案内。長年諏訪大社ガイドをしている谷澤晴一さんにお願いしました。諏訪大社には、祭神として知られるタケミナカタノカミのほかに、「ミシャクジ」とよばれる自然の精霊のような存在が伝わっており、質素な社の脇にある立派な古木が大切にされていることや、「御頭祭」とよばれる春の例大祭では、神様に捧げるお供え物として鹿の頭が登場することなどから、日本の他の神社と比べても、「古代の自然信仰の名残」が多く見られます。
神長官守矢史料館の館内で復元展示されているのは、江戸時代の「御頭祭」の様子。鹿や猪の頭が並んでいたり、兎が串刺しになっていたりする様子はショッキングですが、この地域の人たちにとって、「自然の命をいただくこと=狩猟」がいかに重要なものであり続けていたかを物語っています。
次に見学したのは茅野市出身の建築家、藤森照信氏がつくった奇想天外な茶室。木の上にある高過庵、半分土に埋まった低過庵、ワイヤーでつるされた空飛ぶ泥舟の3つで、どれもその奇抜な外見とコンセプトが目を引きますが、実は「周囲の風景に調和するように」と、土や木、銅板など自然素材でおおわれています。これも、諏訪大社のお膝元で育った藤森氏ならではの「自然を敬う精神」が現れた作品と言えそうです。
最後に訪れたのは茅野市美術館。藤森照信氏の作品の写真展示をはじめ、展示されている作家の中には茅野市生まれだったり、茅野に思い入れをもつ方も多く、この地で生まれる芸術・文化の中に、古代からずっと育まれてきた自然と調和し、自然を敬う精神を見いだすことができました。
「このような機会でないと行かない博物館を訪れることができてよかった」
「もっと深く歴史や風土を知りたくなりました」
「ただの観光とは違う、歴史・文化・土地の特徴がよくわかり、楽しめて勉強になる旅になりました」
「茅野市に40年住んでいながら知らないことが多く、新しい発見がありました」
「これで県外の友人に茅野を誇れます!」