企画展
信濃美術をみつめる「描くこと この地との出会い」
茅野市美術館では、茅野市市制施行60周年記念事業として、地域ゆかりの8人の画家を取り上げる展覧会を開催します。茅野市で生まれ育った者、教員として過ごした者、蓼科高原を愛し滞在した者など、画家とこの地とのつながりは様々です。本展では、約60点の作品を厳選し、それぞれが求めた美と、地域との出会いをみつめます。
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作家紹介
正宗得三郎(1883-1962)は岡山県生まれ。1907年東京美術学校(現東京藝術大学)を卒業後に渡仏し、モネ、マティスらに接し学びました。茅野市・蓼科には写生に訪れ、長野県飯田市に疎開するなど、信州の自然に触れています。正宗の心からの感情は色彩となり、そして鮮やかに日本の四季を描きました。 中川紀元(1892-1972)は長野県辰野町生まれ。1912年諏訪中学校(現諏訪清陵高校)を卒業後、東京美術学校入学。後に中退。茅野市内での小学校教員を経て、1919年に渡仏しマティスに師事、フォーヴィスム(野獣派)を日本に紹介しました。その後、水墨画的な油彩画という独自の境地を開きました。 小堀四郎(1902-1998)は愛知県生まれ。1927年東京美術学校を卒業後、渡仏。1945年茅野市・蓼科に家族で疎開し、蓼科の美しく雄大な自然に魅せられ戦後10年間一人残ります。茅野市で自然を感受した経験が、後に自然の尊厳や生命の神秘を描くことに繋がりました。 田村一男(1904-1997)は東京生まれ。1924年初めて茅野市・蓼科を訪れ、どこまでも広がる高原に感動し、以後日本の山や高原を主題とした作品を多く残しました。その作品は田村自身を投影していくかのように、年を経るごとに写実性を離れ、簡潔な構成と深い色彩による風景画へと展開しました。 矢崎牧廣(1905-1983)は茅野市生まれ。1924年上京し林武(1896-1975)に師事。矢崎は早い段階から、やや荒い骨太で力強い筆致の作風を体得し、生涯を通して、故郷の信州、日本各地、中国、東南アジア、欧州などの風景と向き合いました。 東山魁夷(1908-1999)は横浜に生まれ神戸で育ちました。1931年東京美術学校を卒業。戦中戦後の苦難の時代を経て、風景画家として独自の表現を確立します。茅野市・蓼科にある御射鹿池(みしゃかいけ)をモチーフとした《緑響く》をはじめ、信州、日本、世界の風景を主題に、その作品は深い精神性と豊かな叙情性を湛えています。 矢﨑博信(1914-1944)は茅野市生まれ。1933年帝國美術学校(現武蔵野美術大学)へ入学。在学中、日本のシュルレアリスム(超現実主義)を標榜した先駆的グループを仲間と結成。1938年の帰郷後は小中学校の教員を務めながら、シュルレアリスムの視点から、俳諧と絵画の融合を試みましたが29歳で戦死しました。 篠原昭登(1927-)は茅野市生まれ。東京第三師範学校(現東京学芸大学)を卒業。その後、田崎廣助(1898-1984)に師事。一水会と日展への出品作の7割以上は自身の生まれ育った八ヶ岳山麓を取材し、萱ぶき屋根の山村や、棚田、里山、草原など、風土の変遷をみつめ続けています。 |
子どものための美術教室 「自分がみつけた好きな場所」 講師|大月ヒロ子(ミュージアム・エデュケーション・プランナー) 自分のお気に入りの場所で見つけた「しるし」を手元に置きながら、その場所の記憶をたどり、絵にして、その「しるし」とともに展示してみましょう。 |
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美術講座「描くこと 東山魁夷・田村一男・矢崎牧廣・矢﨑博信」 講師|瀬尾典昭(長野県信濃美術館 東山魁夷館 研究主幹)、大島浩(松本市美術館学芸員)、茅野市美術館学芸員 |
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きてみて!親子ギャラリーツアー ガイド|茅野市美術館サポーター、学芸員 親子を対象としたギャラリーツアーです。ガイドと一緒に話しながら、楽しく作品を鑑賞しましょう。 |
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美術講座「描くこと 正宗得三郎・中川紀元・小堀四郎・篠原昭登」 講師|志賀秀孝(府中市美術館 副館長補佐兼学芸係長)、赤羽義洋(辰野美術館学芸員)、茅野市美術館学芸員 |
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きてみて!ギャラリーツアー ガイド|茅野市美術館サポーター、学芸員 お話しをしながら、ガイドと一緒に展示作品をめぐります。 |
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学芸員によるギャラリートーク |
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特別講座「おでかけ美術館」 講師|三澤一実(武蔵野美術大学教授) 地元作家|小川格(画家)、橋口優(画家) ファシリテーター|茅野市美術館サポーター 本展出品作家と地元作家の作品を展示し、ファシリテーター(進行役)と児童が対話しながら作品を鑑賞。その鑑賞体験を基に作品を作る授業の様子を見学します。 |
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「心に残っている風景や人を描こう」作品募集 心に残っている風景や人を描いてみましょう。本展に来場した子ども(中学生以下)を対象に用紙を配布します。子どもたちが描いた夢の絵は展覧会の会期中、茅野市民館ロビー、スロープに展示します。 |
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~名画の生まれた風景を訪ねる~ “緑響く”深緑の御射鹿池ツアー 《緑響く》のモデルとなった御射鹿池や、滞在した温泉宿をはじめとする東山魁夷氏の足跡を訪ねる、贅沢な日帰りバスツアーです。 詳細 http://chinotabi.jp/ 問合せ 一般社団法人ちの観光まちづくり推進機構 ちの旅案内所 Tel.0266-73-8550 |
主催:茅野市美術館
共催:茅野市、茅野市教育委員会
助成:芸術文化振興基金
協力:長野県信濃美術館 東山魁夷館、NPO法人サポートC 美遊com.、一般社団法人 ちの観光まちづくり推進機構
後援:長野県、長野県教育委員会、岡谷市教育委員会、諏訪市教育委員会、下諏訪町教育委員会、富士見町教育委員会、原村教育委員会、諏訪教育会、信州美術会、諏訪美術会、茅野市美術協会、岡谷市美術会、諏訪市美術会、下諏訪美術会、富士見美術会、信濃毎日新聞社、長野日報社、市民新聞グループ(7紙)、長野エフエム放送、エルシーブイ株式会社、月刊ぷらざ、JR東日本 長野支社、一般社団法人 長野県観光機構、諏訪地方観光連盟、一般社団法人 八ヶ岳ツーリズムマネジメント、茅野商工会議所、信州諏訪農業協同組合