高知県立美術館コレクション
マックス・クリンガーとドイツ表現主義の版画
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マックス・クリンガー 《行為》 版画連作『手袋』より 1893年(第4版) |
1.マックス・クリンガーの版画
連作版画を9作(約120点)中心に、おおよそ制作年代順に展示します。
シュールレアリスムのさきがけとなった日常と非日常を行き来するような作品、社会の厳しい側面を描写した作品、音楽など他ジャンルと共鳴している作品などをバランスよく出品し、クリンガー芸術が多くの要素を含んでいることを提示します。
2.ドイツ表現主義の版画
「ブリュッケ」、「青い騎手」、「バウハウス関係」、など主な活動勢力の版画作品および版画集を1~2
セットずつ展示します。
ドイツ表現主義関係で約30点(版画集3冊を含む)展示します。
マックス・クリンガーの銅版画に対し、ドイツ表現主義の版画は木版画が多くあります。銅版画と木版画の違いを感じられるような展示をします。
クリンガーの銅版画から多大な影響を受けたケーテ・コルヴィッツの版画を展示します。
3.クリンガーと日本
マックス・クリンガーの版画が近代日本にどのように紹介されたか、またどのような影響を与えたかを提示します。
『白樺』の原本、もしくは復刻版を展示します。
4.版画の技法
主に銅版画の技法を紹介します。実際の道具や銅板、製作過程の写真などを展示します。
関連企画 |
※展覧会観覧券で★のついた関連企画をご覧いただけます。 |
● ドイツ表現主義映画の上映 ★ 「吸血鬼ノスフェラトゥ」 1921年/白黒サイレント/65分 スライド日本語字幕付 日時:7月6日(木) 上映 19:00~ 会場:茅野市民館 アトリエ 定員 50名 ※申し込み不要、要展覧会観覧券(観覧済も可) 「カリガリ博士」 1919年/白黒サイレント/50分 スライド日本語字幕付 日時:7月7日(金) 上映 19:00~ 会場:茅野市民館 アトリエ 定員 50名 ※申し込み不要、要展覧会観覧券(観覧済も可) |
● ギャラリーツアー・フリートーク ★ 日時:7月15日(土)14:00より 会場:茅野市美術館 内容:当館学芸員、美術館サポーター 「美遊(ビュー)com(コム).」による展示案内 その後のフリートークにはどなたでも自由に参加できます ※申し込み不要、要展覧会観覧券(観覧済も可) ● 夜楽塾(作品解説会) ★ 日時:7月21日(金)19:00~20:30(予定) 講師:奥野克仁氏(高知県立美術館 学芸員) 会場:茅野市美術館 内容:レクチャー 「マックス・クリンガーとドイツ表現主義版画の魅力」 ※申し込み不要、要展覧会観覧券(観覧済も可) |
● 関連コンサート「奏でられる幻想版画(イメージ)」 -声楽とピアノトリオが描き出す一葉- 美術展「マックス・クリンガーとドイツ表現主義の版画」の関連企画音楽と美術のクロスオーバーコンサート。クリンガーが敬愛したベートーヴェン、ブラームスの音楽を中心としたホールと美術館を併せ持つ文化複合施設ならではの企画です。 日時:7月22日(土)15:00開演(14:30開場) 会場:茅野市民館 マルチホール 料金:一般 2,500円 *展覧会観覧券とのセット券 (コンサートのみの場合 2,300円) 高校生以下 1,800円 *展覧会観覧券とのセット券 (コンサートのみの場合 1,600円) |
マックス・クリンガー
19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したドイツの芸術家 本展覧会では、高知県立美術館のコレクションからマックス・クリンガーの主要な連作版画、および20世紀初頭のドイツ表現主義の代表的な版画作品など約150点(版画集を含む)を借りうけて展示いたします。クリンガーによる繊細な銅版画、ドイツ表現主義の作家による単純な力強い線を持つ木版画など、作家により技法や作風の違いはあります。しかし、「眼に見えないものを眼に見えるようにする」「芸術における精神の深さを重要視する」というドイツ芸術の志向が、各作品の背後に息づいています。 新たな時代へ動き始めた19世紀末から20世紀初頭にかけてのドイツ社会の「精神」、「予感」のようなものが作品から感じ取れるでしょう。他方、クリンガー作品は日本で『白樺』によって紹介されたという経緯があります。これに着目し本展覧会ではクリンガーと白樺派との関わりについて提示します。 なお、茅野市美術館は、文化複合施設「茅野市民館」を構成する施設であり、併設のホール、図書室などとコラボレーションを図りながら大きくアートをとらえることが物理的にも可能な状況にあります。さまざまな表現ジャンルを作品に反映させたクリンガーの作品作りに対する姿勢や、世の中に与えた影響は、まさに茅野市民館が目指す姿勢、役割と似ています。 本展覧会会期中には、美術に限らず音楽、映画などの分野でも関連した催しを企画しています。茅野市民館がさまざまな芸術文化の発信地であること、また、芸術の相互作用を発見できる場所であることを、本展覧会を通し社会に向けて提示していきたいと考えます。 |
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主 催 茅野市美術館
協 力 高知県立美術館、東京ドイツ文化センター
後 援 茅野市、茅野市教育委員会、信濃毎日新聞社、長野日報社、市民新聞グループ