日 時:平成17年11月19日(土)~12月28日(水) 開館時間:9:00~19:00 会 場:茅野市美術館常設展示室 チケット:無料
特集1 冬の情景を中心とした絵画・版画 ~凍てつく寒さ・とぎすまされる感覚・ 物にこめた思い・冬の思い出…~ 晩秋、冬、早春にかけての情景が描かれた作品、または冬を連想させる物が描かれた作品を中心に展示をした。 結果的に、画面の中に雪が描かれる作品が多くなっている。 しかし、雪の描き方、冬の描き方、寒い大気の表し方は、当然ながら個々の作家で異なる。積雪のあった(白い)部分と、そうでない(白くない)部分の混在から生まれる色彩的な美しさを追及した作品、雪におおわれた山や高原の造形的なおもしろさを追求した作品、雪景色を全感覚でとらえ精神的なものを強く画面に表した作品など、それぞれの作家が多種多様に冬や雪景色をとらえている。 山や高原の四季折々の景色を愛し、この地を訪れる作家は多い。茅野や蓼科には、作家たちに「描きたい」「表現したい」と思わせる素材がたくさんあるのだといえる。 見慣れた冬景色も、作品を通して見るとまた新たな見方ができるのではないだろうか。
特集2 立川 義明 (彫刻) ~やわらかいポーズの人体表現から生み出される さまざまな空間と形(フォルム)~ 立川義明(1918年~、諏訪市出身)の作品は、人体彫刻、それもやわらかいポーズをとっている作品が多い。伏す姿勢、膝や腰、ひじを折り曲げる姿勢、髪をつかむ姿勢をとったとき、身体のさまざまなところに「くぼみ」や「すき間」ができる。動作の瞬間に意外なところに生まれる空間のおもしろさが、立川作品の重要なテーマとなっているのである。 例えば、作品「臥(ふ)す」では、両膝をついて前に臥し頭を両腕で抱える姿勢が表現されることによって、観る者は身体の間に生まれる「すき間(空間)」を認識することができる。 また、人体表現を通して作品のなかで異なる要素が対比されていることも立川作品の特徴である。前述の作品「臥す」を例に挙げると、臥すという姿勢をとったとき、背中側は伸び、お腹側はたるむ。背中側には光が当たり、お腹側は陰になる。そうした緊張と弛緩、陰と陽、内と外など異なる要素が同時に表現されており、形と空間の多様性を観る者に実感させる作品となっている。 [略歴] 1918年、諏訪市に生まれる。 1941年、東京美術学校(現東京芸術大学)卒業。文展入選。藤井浩佑に師事。 1951・52年、日展特選。 1960年、日展委嘱出品。 1975以降、日展審査員数多く務める。 1988、日展評議員。現在、日展参与。駒ヶ根高原美術館、諏訪岩谷画廊、丸光等で個展を開催。著書に『宮大工―諏訪の和四郎ノート』がある。
特集2 立川 義明 (彫刻) ~やわらかいポーズの人体表現から生み出される さまざまな空間と形(フォルム)~ 立川義明(1918年~、諏訪市出身)の作品は、人体彫刻、それもやわらかいポーズをとっている作品が多い。伏す姿勢、膝や腰、ひじを折り曲げる姿勢、髪をつかむ姿勢をとったとき、身体のさまざまなところに「くぼみ」や「すき間」ができる。動作の瞬間に意外なところに生まれる空間のおもしろさが、立川作品の重要なテーマとなっているのである。
例えば、作品「臥(ふ)す」では、両膝をついて前に臥し頭を両腕で抱える姿勢が表現されることによって、観る者は身体の間に生まれる「すき間(空間)」を認識することができる。
また、人体表現を通して作品のなかで異なる要素が対比されていることも立川作品の特徴である。前述の作品「臥す」を例に挙げると、臥すという姿勢をとったとき、背中側は伸び、お腹側はたるむ。背中側には光が当たり、お腹側は陰になる。そうした緊張と弛緩、陰と陽、内と外など異なる要素が同時に表現されており、形と空間の多様性を観る者に実感させる作品となっている。 [略歴] 1918年、諏訪市に生まれる。 1941年、東京美術学校(現東京芸術大学)卒業。文展入選。藤井浩佑に師事。 1951・52年、日展特選。 1960年、日展委嘱出品。 1975以降、日展審査員数多く務める。 1988、日展評議員。現在、日展参与。駒ヶ根高原美術館、諏訪岩谷画廊、丸光等で個展を開催。著書に『宮大工―諏訪の和四郎ノート』がある。
特集3 小川 正波 (工芸) ~のびやかでしなやかな鍛鉄~ 小川正波(1911年~1975年、茅野市出身)の鍛鉄作品の特徴は、鉄パイプがしなやかでのびやかなラインを描いていることである。鍛鉄とは、鉄を加熱し叩いて形を作っていく手法を指す。小川は、鍛鉄という技法でしなやかでのびやかな鉄のラインを作りだし、極限まで抽象化された鳥や動物などを表現した。その作品は、どれも鉄の冷たさを感じさせない。 作品「とまる」のなめらかな曲面は、ユーモラスな存在感とともに、ある種のエロティシズムを感じさせる。また、二羽の鳥を阿吽(あうん)の状態で表現した作品「鳥影」ののびやかなラインには、羽ばたこうとする鳥の豊かな生命力が託されているかのようだ。 小川正波は、日展委嘱作家として活躍するかたわら、宝飾デザインの研究も深めた。この研究が、彼の独創的な抽象表現の創造につながっていったといえる。 [略歴] 1911年、茅野市に生まれる。 1931年、東京美術学校(現東京芸大)工芸科鍛金部に入学。石田英一氏、染谷一香氏、三十尾安太郎氏、菅沼宗春氏に師事。 1935年、東京美術学校在学中に文展初入選。 1948年以後、日展に毎年連続出品。 1963年、日展特選北斗賞受賞。 1965年、日展出品委嘱作家となる。 1968年、現代工芸美術家協会会員。同年から3年、ヨーロッパの美術視察。 1972年、東南アジアの美術視察。第4回日展に出品委嘱で「風」を出品。 1976年、第8回日展に出品委嘱で「夜明けのリズム」を出品。 1977年、逝去。
特集3 小川 正波 (工芸) ~のびやかでしなやかな鍛鉄~ 小川正波(1911年~1975年、茅野市出身)の鍛鉄作品の特徴は、鉄パイプがしなやかでのびやかなラインを描いていることである。鍛鉄とは、鉄を加熱し叩いて形を作っていく手法を指す。小川は、鍛鉄という技法でしなやかでのびやかな鉄のラインを作りだし、極限まで抽象化された鳥や動物などを表現した。その作品は、どれも鉄の冷たさを感じさせない。
作品「とまる」のなめらかな曲面は、ユーモラスな存在感とともに、ある種のエロティシズムを感じさせる。また、二羽の鳥を阿吽(あうん)の状態で表現した作品「鳥影」ののびやかなラインには、羽ばたこうとする鳥の豊かな生命力が託されているかのようだ。
小川正波は、日展委嘱作家として活躍するかたわら、宝飾デザインの研究も深めた。この研究が、彼の独創的な抽象表現の創造につながっていったといえる。 [略歴] 1911年、茅野市に生まれる。 1931年、東京美術学校(現東京芸大)工芸科鍛金部に入学。石田英一氏、染谷一香氏、三十尾安太郎氏、菅沼宗春氏に師事。 1935年、東京美術学校在学中に文展初入選。 1948年以後、日展に毎年連続出品。 1963年、日展特選北斗賞受賞。 1965年、日展出品委嘱作家となる。 1968年、現代工芸美術家協会会員。同年から3年、ヨーロッパの美術視察。 1972年、東南アジアの美術視察。第4回日展に出品委嘱で「風」を出品。 1976年、第8回日展に出品委嘱で「夜明けのリズム」を出品。 1977年、逝去。
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