月の八日を特別な日として祭ることは幾つか例があるが、この地域で特に記載すべきは二月のお事八日と、十二月八日の針供養(事納め)である。他にも四月八日のお釈迦様の花祭が、寺で行なわれる。又、霜月八日の「鍛冶屋のりんぼう」というのがあるが、現在では一般には殆ど知られていない。
二月八日の事八日は、村の辻にある道祖神にお餅を供える祭。
朝早く家の門口で、もみ殻・サイカチの実・胡椒(トウガラシ)、豆がら等を焚いて煙を出し悪魔除けをする。煙と匂いで災いが入ってくるのを防ぐと信じられている。
また早朝に、お餅やアンコロモチを作り、道祖神の顔に付ける。家で作った藁馬に餅をのせ、道祖神まで引いていく家もある。
謂われでは、村に疫病神がやって来て「この村から誰か連れて行かなければならない。誰がいいか」と村の入り口にいる道祖神に聞くので、答えられない様に、道祖神の口の周りに餅を付けて置くという。また、道祖神は縁結びの神様なので、お餅を備えて良縁をお願いする。朝一番にお願いした方が聞いてもらえるというので、昔は競って朝早く行った。以前は、三時頃から餅をついて持って行ったようだが、最近は、夜が明けてから行くようである。あんころ餅を供えるのは、餅が固くならないことと、道祖神にくっつけやすいからだとのことである。
この企画は、平成24年度文化庁「地域の遺産を活かした観光振興・地域活性化事業」補助事業です。