2021年度(令和3年度)
地域が輝く文化芸術ネットワーク事業 実績報告
本事業は、「まちなかミュージアム」、「アートで地域をサポートしませんか」によって構成される。 |
1.まちなかミュージアム |
まちなかミュージアム リーフレット
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「オンラインで楽しむ茅野のアートと文化」をキャッチフレーズに、オンラインでの発信を展開。「動画コンテンツでちのめぐり」では、学芸員や専門家が茅野市内ミュージアムなどの作品・資料を解説する10本の動画を作成・公開した。「オンラインイベント」では、アートの専門家や産業、市民活動など、現場で活躍する方々のリアルな声を届ける6本のイベントを実施し、イベント終了後もアーカイブ映像を公開した。地元紙においては「茅野の芸術文化ネット発信」、「市内の美術館や博物館と教育施設などが連携し、地域文化芸術をさまざまな人につなげいていく」と記事で紹介された。また、オンラインイベント「学芸員によるとっておき縄文ギャラリートーク!」では国宝土偶の背中の解説への感想や、「木こりが提案!自然に寄り添う暮らしのヒント」では季節によっての仕事の仕方など様々な質問があり、オンライン上で視聴者と出演者のやりとりが行なわれた。ミュージアムに加え、公民館や市民活動センター、コワワーキングスペース、観光事業者、さらに地元の美術作家、市民グループ、事業者などとの連携が進み、ミュージアムと地域とのネットワークの構築を推進することができた。ウェブサイトについては、動画コンテンツや、オンラインイベント(アーカイブ含む)をパソコンやスマートフォンから視聴しやすいデザイン設計を心掛けた。さらにこれらのコンテンツにリンクするQRコードを掲載したリーフレットを作成し、市内および近隣施設等に設置、市内小中学生・教職員(4,850人)への配布や、全戸配布の『広報ちの』(約18,700部)や地元紙への情報掲載に加え、近隣施設への配置依頼や過去来館者へのDM、そして茅野駅改札口に隣接する東西通路に事業の情報看板を設置することで、地域住民および観光客への情報発信を行なった。 まちなかミュージアム |
2.アートで地域をサポートしませんか |
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茅野市に加え、諏訪地域のミュージアム、地元の小学校、諏訪地域在住の美術作家、 大学などと連携し、アートを切り口に地域で活躍できる人材の育成を目指した。 ●美術館編 ※第1~5回までの連続講座としての受講者は14人 第1回 美術館の仕事(1月23日25人) 第2回 茅野市術館サポーターの活動(1月30日18人) 第3回 美遊com.定例会を見学しよう(3月10日23人) 第4回 これからの美術館に求められること ―対話を生み出す場として(2月12日30人) 第5回 他の美術館を知ろう(3月26日25人) ●まなぶ編 見るを楽しむ~対話による作品鑑賞~(11月8日33人) ●アート×コミュニケーション編 アートプロジェクトを考える①(7月5日7人) アートプロジェクトを考える②(10月17日5人) アートプロジェクトを考える③(11月23日4人) ギャラリー・バードハウスvol.2(10月24日~11月14日) |
美術館編において特徴的だったのが、2月12日の講座で諏訪地域の公立美術館(市立岡谷美術考古館、イルフ童画館、諏訪市美術館、諏訪市原田泰治美術館、茅野市美術館、富士見町高原のミュージアム、八ヶ岳美術館)が連携し、各館の収蔵作品の画像データを用いたビデオ通話(オンライン)での「対話による作品鑑賞」である。ファシリテーター(案内役)は諏訪地域の公立美術館学芸員や茅野市美術館サポーターが務めた。受講者から「多様性をもってあらゆる角度から物事を考えられる」といった対話による作品鑑賞への感想や、学芸員から「各美術館の活動の共有に加え、ネットを介した作品鑑賞は学校や福祉施設とのネットでの実施も考えられ、今後につながる試みを行なうことができた」という感想があった。まなぶ編では小学校の学級単位で対話による作品鑑賞を試みたが、児童から「友達の意見も聞きながら、絵をみることができて楽しかった」という声や、指導教諭から「学校ではあまり話さない子が話していて、とても良い機会になった」などの声が聞かれた。アート×コミュニケーション編では市内のミュージアム5館(茅野市尖石縄文考古館、茅野市八ヶ岳総合博物館、茅野市美術館、京都芸術大学附属康耀堂美術館、笹離宮)が連携し、各館の屋外スペースで作品を展示する「ギャラリー・バードハウスvol.2」(公募作家24名、作品65点)を、地元作家、学芸員とともに制作作業を共有しながら行ない、地域の人々が学べる場をつくった。受講者からは「展示設営作業を一緒に行なったことや、作家の考えを聞けたことがよかった」という感想があり、地域のミュージアムの連携を生み、また各ミュージアムを知るきっかけをつくることができた。講座全体を通して、地域のネットワークの中で、様々な立場な人々が交流し、学び合う機会を生み出すことができた。本事業ではチラシ・ポスターを作成し、「まちなかミュージアム」と同様に情報発信を行なった。茅野市の人口は約55,000人であり、その中で茅野市美術館では56人の市民サポーターが活動しているが、本事業では合計170名の受講者があった。これからのサポーター活動の充実に期待できる成果となった。 アートで地域をサポートしませんか 美術館編&まなぶ編 アートで地域をサポートしませんか アート×コミュニケーション編 |
2月12日 美術館編
ビデオ通話を使用した鑑賞の様子 11月18日 まなぶ編
小学2年生の鑑賞の様子 10月17日 アート×コミュニケーション編
展示作業を学ぶ様子 |